「星をつなぐ手 桜風堂ものがたり/村山早紀」の感想

「桜風堂ものがたり」が完結した。

著者のあとがきによると、終わらすつもりはなかったそう。

最終章を書いてるうちに、「ああ、これはお話としてまとまってしまう」

たまにそういう物語があると。登場人物たちが自らの手で、きれいに幕を引いてしまう。

「みんないつまでも幸せに暮らしました」というナレーションが耳に聞こえてくるような。

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一作目の桜風堂ものがたり、めっちゃ面白かったんですよ。2017年本屋大賞5位。

かんたんなあらすじは、前にブログに書きました。

『本屋さんの経営は厳しい。店員みんなががんばってる。ある日、中学生の万引き事件が起きる。7年前の調査で、全国の書店の万引き被害額は年間200億円。儲からない本屋の利益はふっとぶ。主人公の月原は万引きした中学生を追いかける。中学生は目の前で車にはねられた。

中学生はいじめで万引きさせられていた。本屋と主人公はネットから攻撃を受ける。中学生を万引きごときで追い詰めるなと。嫌がらせは百貨店まで及ぶ。責任をとり月原は辞職する。もちろん心優しい本屋の人たちは引き留めたが・・』

前作で主人公の月原一整は、桜の美しい山間の観光地の本屋で働くことになり、高齢の店主から店を任されます。本作はその続編です。

月原は一生懸命に働き、周りのみんなが彼を助ける。町の人々、大物作家、辞職した本屋の人たち、百貨店の人も。

「サラリーマン金太郎」みたいに、周りのみんなが力になってくれる。

嫌な展開がなくて読んでると幸せに気分になる。ずっと読んでたかったのですが終わってしまった。ハッピーエンドでした。

あとがきにはキレイに幕が下りたと書かれてますが、続編を読んでみたい。幸福の瞬間に幕が下りたので、これの続編というと野暮かもしれませんが。

最近の小説で面白かった連作もの。「ツバキ文具店」「コーヒーが冷めないうちに」「上流階級 富久丸百貨店外商部」それらと同じレベルかそれ以上に面白いよ。

3つとも映画かドラマになりました。これもぜひ映画かドラマにして欲しいなあ。登場人物がやさしい人たちが多いので、アニメでもいい。

この物語は3部作です。「桜風堂ものがたり」「百貨の魔法」「星をつなぐ手」。

「百貨の魔法」は月原が最初に勤めていた銀河堂書店が入居していた百貨店の物語。外伝です。そちらも十分に面白いので3部作のドラマを是非。

桜風堂ものがたりの人物相関図です。phpから拝借。

以下に読書メモを。

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伝えることが大事

感謝の思いや、嬉しかったこと、大切に思っているということは、言葉にして伝えておこう。そうすれば、いつか言葉は魔法になり、自分が大切にしている何かを守り、幸せにするかも知れないから。

今後書店はどうなるのか

月原くん。俺はもう、日本の書店は先が明るくないんじゃないかと思っている。老舗の大型書店や、時代に適応して柔軟にかたちを変えてゆける、大規模なチェーン店は残るだろう。それと小規模なセレクトショップの書店だな。店内にある本のすべてを、センスと才覚のある店長が把握していて、イベントも企画して、常に自らが話題の中心になり、ひとを集められるような店だ。

しかし銀河堂書店や桜風堂書店のような、地域に根付いた昔ながらの町の書店は、苦戦を強いられる。町の一角にあって、雑誌や文庫や文芸書、それにほんの少しの文具も置く。大人も子どもも、いろんな年齢の人がふらりと立ち寄って、本を選んで買ってゆく、そんな懐かしいかたちの店は、かんたんには、持ちこたえていけないだろう。

本を読む人口は減っていくばかりだ。俺のような昔からの読書家である、じいさんばあさんは寿命がくる。期待したいところの、来るべき次の世代は、ネットの本屋で注文したり、電子書籍を買っちまう。まあね、気持ちはわかるよ。読みたいと思ったときに、スマートフォンですぐに買えるものな。そもそも、買いに行こうにも、町の小さな本屋には在庫があるかどうかもわからない。

ネット書店に対抗できるのは、大量の在庫と全国に複数の店舗を持つ、ナショナルチェーン店しかないような現状で、逆にいうと、その大型の書店が進出してきた町では、ネット書店と大規模店の挟み撃ちにあうようなかたちで、昔ながらの地元資本の書店が客を取られてやっていけなくなっちまう。

エリナー・リグビー

開店前だからなのか、木の扉が開いていて、中から音楽が漏れ聞こえてくる。ビートルズの「エリナー・リグビー」だ。孤独に生き、死んでいった老婆エリナーと、小さな教会の、これも孤独な神父の歌だった。一整は音楽にはさほど詳しくないけれど、この歌は好きだったし、だからこの店に備え付けられた古いスピーカーがとても良いものだということがわかるのだった。

外伝の「百貨の魔法」も、やさしいお話です。

(関連記事)
【上流階級 富久丸百貨店外商部Ⅱ/高殿円/16年10月初版】
https://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-07-11

【芥川賞の偏差値/小谷野敦/17年3月初版】
https://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-06-17

【文章読本さん江/斎藤美奈子/2002年2月初版】
https://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25

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『「星をつなぐ手 桜風堂ものがたり/村山早紀」の感想』へのコメント

  1. 名前:しろくま 投稿日:2019/01/17(木) 20:55:04 ID:8ab32676b

    donさん、こんばんは☆

    本屋さん、大型のチェーン以外はなかなか苦戦しているんですね。
    地元の本屋さんは去年2つ閉店してしまいまいました( ;∀;)

    手に取ってゆっくり見たいとき、近隣の駅ビルなどにある大型書店に行きますが、
    本屋さん、これ以上なくならないでほしいものです。。

    伝えることが大事、そうですね!
    感謝や嬉しかったこと、大切な人たちに、
    伝えていきたいと思います(^^ゞ

  2. 名前:don 投稿日:2019/01/18(金) 12:31:26 ID:4462f1215

    しろくまさん、こんにちは~
    閉店ですか。。寂しいですよね。

    子どものころは、本屋さんが町中に溢れてました。
    そして週に2~3回は通って、立ち読みしてました。

    本屋さんとレコード屋さんが、店では一番好きな場所でした。
    レコード屋さんも少なくなりました。

    便利といえば便利ですが、アマゾンの罪は深いです。