オードリータンまとめ。インタビュー本「自由への手紙」より

オードリータン(唐鳳)は台湾のデジタル担当大臣。史上最年少の35才で就任。

日本のIT大臣(78才。ハンコ議連会長)との対比があまりにも鮮明すぎて。世界最強といわれるTSMCを擁する国の大臣は、やっぱ一味違うなあと。

オードリータンが本書で語ってますが、スマホは使わないそうです。

「スマホは私たちの自由を損なう。2つ折りの電話を使ってる。ガラケーに見えるけどオープンソースで稼働してるし、自分好みのアプリ入れてるし、プログラミングも可能。誰かに与えられたコンフィギュレーション(設定)ではない。自分で自由に設定できるもの。モードを変更しない限りタッチパネルにならない。指ですぐに操作できるとなると、常にスマホをスクロールして、依存症になってしまう。指だけでかんたん操作できないよう自分で設定した電話をつかうことで、SNSに過剰に注意を払わずにすんでいる。テクノロジーの奴隷にはならない」

ホリエモンは「最新のスマホを買えない人は、いい仕事ができない」と言ってましたが…



オードリータンについて。来歴まとめ

・1981年台北市にて新聞社勤務の両親のもとに生まれる。

・小学校に入学してまもなく9元連立方程式を解き、天才とされる。

・IQ180とされるが、学校での測定は3回とも160を記録。それは測定可能な最高値だった(IQの平均値は100。120で秀才、140以上は天才といわれる)。

・「180は私の身長。インターネット時代は誰でもIQ180です」とは本人の弁。

・8才から独学でプログラミングを学ぶ。中学時代は「毎日登校しなくてよい」と学校の許可を得て、老子、哲学書、古典文学などを読みふけり、大学の授業を聴講し、ネット上でプログラマーや数学者などさまざまな人と交流し学ぶ。

・14才で中学を自主退学。15才でプログラマーとして仕事を始め、16才で台湾のIT企業の共同経営者となり、19才でシリコンバレーに起業。

・母語は台湾語だけど考えるときは英語。あと標準中国語とドイツ語は学んだ。フランス語も少し話せる。

・24才でプログラミング言語Perl6開発に貢献。トランスジェンダーであることを公表し、女性へと移行する。

・27才でシリコンバレーのSoucialtex社創業メンバーとなり、台湾でリモートワーク。

・33才でSoucialtex社を売却。経済的自由を手に入れ、ビジネスの世界から引退する。

・顧問を務めたAppleで人工知能Siriプロジェクトに加わる。

・35才史上最年少で蔡英文政権に入閣。デジタル担当大臣に就任。

・2020年マスク在庫がリアルタイムで確認できるアプリ「マスクマップ」を開発。台湾のために尽力している。

政治家オードリータンのスピード感と透明性

わたしが従事することのすべては公的記録として文字に起こされ、あるいはビデオに録画され公開される。わたしが率いるチームPDiSの活動は、すべてインターネット上で世界に明らかにされている。

これは文字通りのことで、わたしが行うWeb会議にしろ、誰かとの会話にしろ、この本のためのインタビュにしろ、すべてがオープンです。そのためロビー活動をする人は、わたしに対してロビー活動をするのではなく、全台湾社会に対してロビー活動を展開することになる。陳情にやってくるすべての活動団体は、「常に何もかも見られている」と承知している。

クーリエジャポンの編集後記より。スピードについて言えば彼女に取材依頼をしたときから異例ずくめだった。日本の大臣なら日程調整にたどり着くのに申し込みから1か月はかかる。

ところが彼女のチーム「PDiS」のホームページに取材依頼のメールを送ると、わずか8分後にスタッフから返信が届き、メディアの取材対応窓口担当者のメルアドを教えてくれた。すぐに担当者にメールを送ると、翌日には「取材はいつがいい?」と返信が来た。

このスピード感が、コロナの初期対応において、わずか3日で台湾の全国民がマスクを入手できる「マスクマップ」を作り上げることにつながる。

日本の有名政治家は、インタビュの間はニコニコしてるが、終わると秘書を怒鳴りつけるような人もいる。彼女とスタッフのやり取りは徹頭徹尾フランクで、親しい友人どうしのようだった。



台湾は女性議員が40%

台湾の現内閣は「ジェンダー主流化プロセス」と呼ぶ施策を通じて、さまざまなジェンダー(男女の性区別のこと)や性的志向の人を積極的に支援している。

台湾では主要法案や1年以上続く主要プログラムは「ジェンダー共同参画委員会」を通す必要がある。委員会はすべての議案を精査し「ジェンダーに与える影響がマイナスかプラスか」を判断する。プログラム終了後も統計データ収集を継続し、ジェンダーへの影響を追跡する。こうすることでエビデンスにもどづく政策を国民に示すことができ、明確なKPI(評価)が得られる。

その結果台湾議会では女性議員の割合が40%を超えた。また新しく建設された建物には、4種類のトイレが標準装備されている(男性、女性、ジェンダーニュートラル、多目的)。

2019年5月。台湾はアジアで初めて同性婚の権利を合法化する特別法案を可決した。同性婚が合法化されている国は世界におよそ2割あるが、アジアでは今のところ唯一。

台湾は話し合い、国民投票を行った。台湾の人々が下した結論は「同性間の結婚の権利を合法化する」というものだった。結婚を登記することができ、パートナーが先だった場合は残された人に相続の権利が生じ、結婚した二人には相互扶養の義務がある。パートナーのどちらかと血縁関係がある子どもを養子にすることもできる。

台湾のハンコ文化

台湾も日本と同じ印鑑文化の国である。2016年入閣にあたって、私は「大臣としてのアカウントを作る際に必要だ」と言われたために、ハンコを用意しました。ところが2020年5月再入閣した際、持参のハンコを使う場面がありませんでした。すっかりサインに変わっていたのです。

「ハンコ問題」とは、じつはハンコではなく「紙の問題」です。紙に変わるような「ハンコを押せるコンピュータ画面」にアップデートしたら、印鑑文化の新たな活かし方が見つかるかもしれない。

オードリータンのインタビュ動画があったので、貼っておきます。慈愛に満ちていて、まるで如来のようです。日本にもオードリータンのよう大臣がいて欲しい。

インタビュアのレベルが高い動画。

どうでもいいですが、オードリータンと山下達郎、似てますよね。

オードリータンと山下達郎

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『オードリータンまとめ。インタビュー本「自由への手紙」より』へのコメント

  1. 名前:ヒサ 投稿日:2021/01/31(日) 22:11:15 ID:2bb772f67

    オードリータンと山下さん、そっくりですね。
    天才系の顔なんでしょうか(笑)

  2. 名前:don 投稿日:2021/02/01(月) 20:21:37 ID:178094421

    ヒサさん、こんばんは~
    そっくりさんはこの世に3人でしたっけ。
    達郎さん、ぜったい意識してると思います(笑)。