「イギリス人アナリストだからわかった日本の強み弱み」要約まとめ

気づきがあった1冊。

日本の生産効率の低さについてです。日本礼賛本かと思って読むと違いました。

著者は日本に25年住んでて、現在は300年の歴史を誇る「小西美術工藝社」という、文化財補修会社社長。

経歴はオックスフォード大学、アンダーセンコンサル、ソロモンブラザース、ゴールドマンサックス(金融調査室室長を経てパートナー)を07年に退社。09年に現職。

「はじめに」が面白くないのに、読み進めると面白くなるという珍しい本でした。たいていの本は、「はじめに」が面白くて、尻すぼみになる。ひどいと、「はじめに」がマックスで、そこさえ読んどけばいいという本もあります。「気づき」の部分はすべて「はじめに」に凝縮されてたりして。

途中で読むのやめなくてよかった。主に2つことについて書かれてます。

1つは人口経済学、もう1つは日本の生産効率の低さです。

本書の通奏低音である人口経済学について。
藻谷氏の「デフレの正体」で広く知られるようになりました。最近では2015年新書大賞の「地方消滅」、「橘玲の中国私論」なんかもベースにしてます。著者は言います。簡単であたり前のことだけど、気づくのに30年かかったと。

戦後日本の経済成長は奇跡ではない。1939年時点で経済規模は世界6位(5位の仏と僅差)。戦前からすでに先進国だった。それが敗戦によって一時的に社会インフラが壊滅的な被害を受けて、焼け野原から経済復興が始まる。くわえてベビーブームで人口が順調に増えていったということが、ドイツを抜いて世界2位のポジションまでGDPを押し上げた。

1945年と2013年の人口をドイツと日本で比較すると、
日本:72百万人⇒127百万人 177%
ドイツ:65百万人⇒81百万人  124%

もう1つ、日本の生産効率の低さについて。
これって悪いというのが、なかなか実感できません。1人あたりGDPや購買力平価で比較しても、「ドル円の為替やん」 の一言で終わらせてました。

でもそうではない。ほんとに非効率やと。著者に言われてみて気づきました。

以下に読書メモを。



日本の弱み、悲しくなる効率の悪さ

以下の表はIMFや世界銀行調べで公表されている、購買力平価でみた1人あたりのGDP。簡単に言えば、国民1人あたりの生産性がどれだけ高いのかを比較したもの。日本は2014年の調査で世界28位で、3万7390ドル。

日本の生産性

1時間あたりのGDP

日本の1時間あたりのGDPは2013年で世界21位。

日本の生産効率は低い

たとえば銀行の書類。驚くほど多い。複雑な記入。印鑑証明等。印鑑も1p、2pは押して、3pには押さず、4pは1~2pと違うところに押すなど難解。認印、社判、社長個人の実印など書類作成に多くの時間を費やす。客観的にみて2割程度の量で済むものもあれば、工夫すればまったく不要な書類もある。作成された書類は、銀行側も何人かのスタッフが厳重にチェックする。これらはGDPには貢献しない活動。1人あたりGDPに悪影響を与えている。

道路工事や建設現場における、スタンディング・アラウンド。2人の職人が仕事するのを、11人が見守ったり。工事現場でバトンを振ってるだけの人は、諸外国にはいない。

打ち合わせに1人でいいのに、3人もくる。会議に多人数が出席して、ただ座っているだけ等々。

完璧主義のコストアップ

商品を90%まで仕上げるには10のコストがかかるとしたら、100%にもっていくには、そこからは1%上げるたびにさらに9ずつのコストがかかる。これはアンダーセンで鉄則だと教わった。

仕事にはきりがない。完璧を追求すればするほどコストが重なる。仕事を美徳や修行とみなしたり、本来は別な場所で求める夢を仕事に持ち込みすぎている。それが1人あたりのGDPを下げている。

日本の経営者は数字に固執しない

アメリカやイギリスの労働者は、日本のように優れていない。そのため経営者が鍛えられ強くなる。

日本は労働者の質が良くて、今まで高度成長の環境に恵まれてきたので、経営者が鍛えられず、海外の一部に比べて弱い。

どうすれば日本の非効率は改善するのか。プロセス重視から数字重視(結果重視)へ意識改革する。一言でいえば、日本は労働者が悪いのではなく、経営者の質が悪い。詳細は本書で。

和食ブームではない

欧州にある和食店は外務省数値によると5500軒と推計されている。ぐるなびによると、東京23区だけでイタリアとフレンチの店は5618店ある。これを基準に欧州の和食店を東京の洋食店と同じくらいの普及率にするには、18万7257店が必要になる。ここまで普及してはじめて、欧州の誰もが知る和食ブームといえる。

伸びしろがある日本の観光需要

世界の観光需要は、全世界のGDPの9%を占めている。11人に1人を雇用しており、観光輸出額は1.4兆ドル。世界の輸出額の6%を占め、サービス業輸出額の29%を占める。

日本はGDPに対する観光の貢献度は2%強しかない。世界平均の取り組みを行えば、7%の成長が見込める。

男なら働けって君はいうけど♪
ぼくは朝から晩まで働いているよ♪
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