2016年「エコノミスト」誌、ベストブック。
『「科学と人間ドラマの、素晴らしい融合だ」「オブザーバー」紙、ベスト・サイエンス・ブック2016。1946年イギリスで、ひとつの研究が始まった。3月のある1週間に生まれたすべての赤ちゃんの生涯を追跡する、「コホート研究」とよばれるプロジェクトだ。
以来科学者は、同様の研究を数回にわたって行ない、成長していく人々の、学習、就職、結婚、死という、人生の全側面を記録してきた。
この試みから明らかになったのは、「いちばん頭の良い労働者階級の子どもは、いちばん愚かな中流、上流階級の子どもに、学校成績であっという間に追い抜かれる」
「1970年生まれの子どもたちの所得は、1958年生まれの子どもたちの所得よりも、親の所得と強く結びついている」
「幼少期にずっと就寝時間が不規則だった子どもは、就寝時間が一部不規則だった子どもより、問題行動を起こすリスクが高い」
など、貧困の根深さを示す多様な事実だった。こうした成果はもちろん、資金難に直面した研究者たちの財政的闘い、政治潮流に翻弄される研究方針、コホートメンバーの人間ドラマまでを、徹底した取材で描き出す、「コホート研究」初のノンフィクション』
成功の法則は、当たり前の結論でした。これから子育てされる方は、肝に銘じておくべきことだと思います。
目次
貧乏な家に生まれても成功する方法は?
1958年3月。英国の科学者は3月のある週にイギリスで生まれたすべての赤ん坊、1万7415人を記録した。彼らはその子たちの生涯を追いかけ、身体、知能、学業、階級、職業、結婚など、あらゆることを記録した。
研究は発見した。不利な境遇に生まれた子ども。彼らはずっと苦しい生活を送る傾向にあった。問題行動、病気、学業不振。彼らはレッテルを貼らざるを得なかった。「生まれながらの落伍者」。
しかし人生はそれほど単純ではない。落伍者の子どもたちが、全員落伍するわけではなかった。科学者は知りたがった。貧乏な家の子どもが、どうやって成功したのか。
<生まれながらの落伍者の基準>
・ひとり親、または子どもが5人以上の家庭。
・なおかつ児童手当をうける低所得家庭。
・なおかつ給湯設備がなく、1室あたりの住人が1.5人より多い家に住んでいる。
このような基準にあてはまる子どもは386人だった(2%)。子どもの大半は、学歴がなく、所得が低く、無職であったりと、苦労をしていた。
<落伍者のうち何人が成功したか>
困難な出発点から抜け出し、グループの平均を上回るような子どもは何人いたか?
たとえば教育修了一般試験合格など資格を取得したり、高収入の仕事やスキルの必要な仕事を確保したり、マイホームを買えるくらい暮らしぶりが良い人。386人のうち達成者は83人だった(22%)。
<あらゆるインタビュや調査の結果わかった成功の要因>
成功者の共通項、重要な特徴。
・達成者には子どもの教育に関心を抱き、子どもの将来に夢をもつ親がいた。
・高学歴を達成した人の56%は、親が学校に通い続けることを望んだ。
・非達成者の親は、そのような意欲を言葉にしたことある人は11%にすぎなかった。
分析では必要なものは親だけではなかった。
・達成者には意欲的な親だけでなく、意欲的な学校が味方してる傾向が強かった。
・子どもの成功に関していえば、関心があって意欲的な親と学校は最強の組み合わせ。
・典型的な達成者は病気の親、失業中の父親、両親の離婚のような家庭の問題も少なかった。
もうひとつ重要な因子は居住地。
・達成者は就職の機会がある地域に住んでいる傾向がある。
・非達成者は産業が斜陽化したことで親も、後に子どもも職を見つけるのに苦労する地域。
このような状況は子どもはどうすることもできない。子どもは親も、学校も、家庭の事情も選べない。しかし達成者がほかの人たちとちがう重要な点がもうひとつあった。
モチベーションだ。学業をきちんとやって教育を受け続けたいと願う傾向が高い。そして子どもの頃の境遇よりよい環境に抜け出そうと、固く決意していることが多い。
しかしモチベーションだけでは十分ではない。やっぱり親と学校の励まし、家庭の安定、就職の可能性など、他の要因との組み合わせがないため、自分の不利な環境と決別できない。
⇒思ったより貧乏から成功する人多いです。2割も逆境から逆転してるんですね。
英国のコホート(観察対象集団)はいくつあるか?
・1946年生まれのコホートは、世界でもっとも長く続いてる大規模な出生コホート。53才の時に行った3つのかんたんな体力測定、(両手をどれだけ強く握れるか、目を閉じて片足で長く立つ、椅子からすばやく立つ)で、3つともできなかった人は、3つともできた人の12倍の死亡率だった。
・1958年生まれのコホートで有名なのは「マシュマロテスト」。1個をいまたべるか、20分待つと2個食べれる。待つ方を選んだものが、成功者となっている。自制心の研究。自制心の強い者は、社会的地位は高くなり、管理職に昇進する。忍耐や根気は人生の成功の重要な因子なので、幼少期から教えるべき。多くの仕事や人生の難題に成功するには、頭が良いことより、勤勉、信頼、仕事をきちんとやり通すことが求められる。
・1970年生まれのコホート。私立学校と公立学校に通った人の比較。オックスブリッジなど、英国の一流大学24校に通った人と、そうでない人を比べた。性別により差異が出た。男性は私立学校に通うことは出世と関連していた。出世に役立つ強力な卒業生ネットワークで身を起こす可能性がある。女性の場合は学校のタイプは重要ではなかったが、一流大学に通うことは意味があった。
・1991年生まれコホート。1万4026人の子どもで始まったが、現在質問に答えているのは40%、依頼されて診療所に出向くのは50%ほど。診療所に来てもらうのには特典を付けている。旅費交通費の支給はもちろん、診療所には無料Wifiなど、20代の若者に魅力的なものを準備する。この世代のips細胞貯蔵所を構築する。行動とDNAの相関を特定する。
・2000年生まれコホート。1万8818人集めた。昔と違って同意した人は72%。格差問題、社会的流動性は悪化してるのか?悪化はしてなかった。さまざまな支援が助けになっている。ただまだ結論を出す時期ではない。
それでも僕は 人生を信じる♪
クラプトンで、ビリーブ・イン・ライフ♪
「レプタイル」って、個人的には「スローハンド」の次に好き。名盤です。枯れてるんですよね。両方ともサウンドが。
クラプトンについて過去記事より少しコピペ。
『母は16才の時に未婚で、カナダ人兵士との間にクラプトンを生む。父は兵役が終わると二人をすて家族の待つカナダに帰る。母はその後2歳のクラプトンを祖父母に預け、別のカナダ人兵士と結婚する。その後ドイツに移住し3人の子供をさずかる。
祖父母はクラプトンに自分たちが両親と思わせるように育てるが、小学校に入り気付いてしまう。親戚をよそおい家族で里帰りした母は、クラプトンに自分が母だと名乗らない。クラプトンが9才の時のことである。
レプタイルは亡くなった叔父さん(兄貴と信じてた)に捧げられていて、クラプトン自身のライナーノーツは以下。
「当時の私は彼が実の兄と信じ込まされていた。その結果彼は私のものの見方に多大な影響を与えることになった。今にして思えば、音楽も芸術も、あるいは車や洋服も、私の趣味や思考はこの時期に形成されたものであり、その多くをエイドリアンと彼の妻シルヴィアとの、想い出深い関係に負っているようだ。あなたたちが与えてくれた喜びや愛に心から感謝したいと思う。このアルバムはあなたたちが私に与えてくれた、すべてのことに応えるためにつくり上げたアルバムだ」』