※本記事は2018年の記事です。北川景子主演で映画化される「ファーストラブ」のあらすじは、A4で1枚分ぐらいの書評の後に書いてます。あらすじだけ読まれる方は下へどうぞ。書評も読まれる方は最初からどうぞ。本記事は全部でA4x2枚ぐらいの分量です。
2018年上期の直木賞受賞作。
ノミネート10作のうち4作品よみました。とりあえず「ふたご」はかなり面白かった。
あと読んだ2作は「傍流の記者」と「じっと手を見る」。
「ふたご」は日本のトップバンドである「セカオワ」の創成記。みんな知りたがってることが書かれてました。読後感も素晴らしい。なんでこれが直木賞受賞できないの?ってレベル。
「ファーストラヴ」読んでみてなっとく。直木賞にふさわしい(文章力があって面白い)作品でした。
今年は本屋大賞ノミネート作もけっこう読んだ。10作品のうち7作品よみました。「かがみの孤城 」、「盤上の向日葵」 、「たゆたえども沈まず 」、「騙し絵の牙 」、「星の子 」、「崩れる脳を抱きしめて」 、「百貨の魔法 」。
あと宮部みゆきの「この世の春」も最近の話題作ではよかったです。
個人的には、「ファーストラブ」「かがみの孤城」「この世の春」「ふたご」の4作品が今年読んだ小説ではベスト4だとおもう。あ、ファーストラブ以外は17年初版か。
この4作品には共通項があります。すべて病んでる人が出てくる。トラウマとか精神疾患系。
「かがみの孤城」は不登校の子どもたちの話。7人の不登校の子どもたちの再生の物語。みんな立ち直って読後感がサイコーです。
「この世の春」も病んでるお殿様が出てきて、この再生の物語。なんで殿様が病んでるかというと、親との関係というか呪術やら近親相姦やら。このミステリーを解き明かしていく。最後は「この世の春」になって読後感はいい。
「ふたご」はみなさんご存知。フカセが病んでて、サオリもちょっとしんどい。
病み具合がキツすぎると、読んでて心が苦しくなる。ライトすぎると、それくらいで人は病まんやろ。って突っ込みたくなる。サジかげんが難しいです。
「ファーストラヴ」は主人公女性のトラウマ原因が、ちょっとライトすぎる感じがして。そんなんで病まへんやろうと。そこだけマイナス。伏線はみんな回収するしハッピーエンドというのもいい。
「ファーストラヴ/島本理生」のあらすじ
主人公は臨床心理士の真壁由紀。30後半ぐらい。小学生の子供が1人いる3人家族。
旦那さんは腕のいい報道写真家だけど、奥さんの夢を優先して、結婚式場のカメラマンをしながら主夫のような暮らしをしてる。旦那さんは女性からみて理想的な優しい人。
真壁由紀は両親との関係から病んでた時期もある。大学時代1年休学して復学したとき、同じ大学だった旦那さんの弟と出会う。正確には旦那の弟ではなくいとこ。事情があって幼いときに引き取られている。そういう経緯もあり弟は「心の欠落」があり、由紀とウマがあう。2人は惹かれあったが結局むすばれない。
弟は引き取られた家の両親や、兄である旦那さんたちからものすごく優しくされる。善人たちだった。善人に育てられた兄も、くもり1つない澄みきった心。弟は兄や新しい両親にはものすごく感謝してる。とくに兄のことは大好き。
弟は由紀に兄の個展を紹介する。由紀はそこで旦那に出会い結婚する。弟と一時ひかれあったことは、お互いの秘密にして。
弟は頭がよく腕のいい弁護士になった。
由紀は臨床心理士としてTVにも出演してる才女。
ある日「美人すぎる女子大生」の父親殺しが起きる。その事件について本を書くよう出版社から頼まれる。
世間を震撼させた「美人すぎる女子大生」の父親殺し。女子大生の国選弁護士が弟だった。
美人すぎる女子大生は、なぜ父親を殺したのか?
彼女は病んでいた。母親との関係、父親との関係。父親とは血がつながっていなかった。
臨床心理士として、彼女と面会を繰り返し、彼女の心の闇を明らかにしていく。彼女は両親との関係で、すべて自分が悪い、と思い込んでいた。
本当に彼女は父親を殺したのか?
過去の彼女の人脈をたどっていき、1つずつ彼女の過去が明らかになっていく。つらい過去です。証人を嫌がってた人たちも、2人の説得で裁判の証人となってくれる。
そして裁判の日を迎える。
心が壊れていた女子大生は、再生できるのか?判決はどうなるのか?
由紀と弟、兄の関係はどうなっていくのか?
「ファーストラヴ」から気に入った言葉
ひきこもりの子どもと親の関係について。
「皆さん、愛とは与えるものと思ってらっしゃいますよね。じつはそれが原因だったりすることもあるんです」
「それは間違いなんでしょうか?」
「けっして間違いではないないんですけど、正しくは、愛とは見守ること、なんです」
「親御さんが先回りしすぎることで、本人の自主的な意思を奪ってしまっている場合があるんです」
⇒だまって待つことって、むずかしいんですよね。つい自分の意見を押しつけてしまう。失敗を受け入れられる、度量がほしいです。
若いころの恋愛で難しいところ
孤独と性欲と愛の区別は難しい。若ければなおさら。
⇒これ、20歳前後の男なんてほとんど性欲から始まるんじゃないかな。女性はどうなんだろう。
ほい。アマゾンミュージックアンリミ♪