
映画『スター・ウォーズ』全9作の物語を振り返るシリーズ。第2回は、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』です。
前作『ファントム・メナス』から10年。少年だったアナキン・スカイウォーカーは青年へと成長し、ジェダイの修行を続けていました。しかし、彼の心にはジェダイとしての使命だけでは割り切れない感情が芽生え始めていました。
銀河共和国を揺るがす政治的な陰謀、アナキンとパドメの許されざる恋、そして母との悲しい別れ。本作では、後の物語に大きな影響を与える出来事が次々と描かれます。
さらに、共和国と分離主義勢力の対立は、ついに全面戦争へと発展。銀河の運命を大きく変える「クローン戦争」が幕を開けます。
※この記事には映画のネタバレが含まれます。
『クローンの攻撃』のあらすじ
『ファントム・メナス』から10年後、銀河共和国は深刻な政治的危機に直面していました。
共和国から離脱する星系が相次ぎ、ドゥークー伯爵を中心とする分離主義勢力が台頭。銀河元老院では、共和国を守るための軍隊を創設すべきだという声が高まっていました。
そんななか、元老院議員パドメ・アミダラの命を狙う暗殺未遂事件が発生します。パドメの護衛と事件の捜査を任されたのは、ジェダイのオビ=ワン・ケノービと、その弟子アナキン・スカイウォーカーでした。
捜査を進めるオビ=ワンは、辺境の惑星カミーノで極秘に製造されていたクローン軍の存在を知ります。さらに、クローン兵士の遺伝子提供者である賞金稼ぎジャンゴ・フェットを追ううちに、分離主義勢力をめぐる不穏な動きへと迫っていきます。
一方、パドメの護衛として行動をともにするアナキンは、彼女への愛情を深めていきます。しかし、ジェダイには恋愛や個人的な執着を戒める教えがあり、アナキンは自分の気持ちとジェダイとしての使命の間で葛藤することになります。
さらに、母シミ・スカイウォーカーの身に危険が迫る悪夢に悩まされたアナキンは、故郷タトゥイーンへと向かいます。そこで彼を待ち受けていたのは、取り返しのつかない悲劇でした。
やがて物語の舞台は惑星ジオノーシスへ。分離主義勢力に捕らえられたオビ=ワン、アナキン、パドメを救うため、ジェダイたちが集結します。
ドゥークー伯爵率いるドロイド軍との戦闘が始まり、共和国はついにクローン軍を投入。パルパティーン最高議長は非常時大権を得て共和国軍の創設を進め、銀河は全面戦争へと突入します。
ジオノーシスの戦いは共和国側の勝利に終わったかに見えました。しかし、その背後では、すべてを操る黒幕の計画が着々と進められていたのです。
本作の見どころ
『クローンの攻撃』の大きな見どころは、青年へと成長したアナキンの心の揺れ動きです。
優れた才能を持ちながらも、感情をうまく制御できず、愛する人を失うことへの恐怖や抑えきれない怒りに苦しむアナキン。その人間らしい弱さが、彼の未来を考えるうえで重要な意味を持っています。
また、アナキンとパドメのロマンスも本作を彩る大切な要素です。ジェダイの掟によって許されない恋でありながら、ふたりは互いへの思いを抑えきれなくなっていきます。
そして、共和国の政治的混乱を背景に進められる謎の計画も見逃せません。クローン軍は誰のために造られたのか。分離主義勢力を裏で操っているのは誰なのか。物語が進むにつれ、銀河を揺るがす巨大な陰謀が少しずつ姿を現します。
ここからは、本作の印象的な6つのシーンを振り返ってみましょう。
SCENE 1 パドメの身に迫る危険
元老院議員となったパドメの命が、何者かによって狙われます。
暗殺未遂事件を受け、アナキンとオビ=ワンはパドメの護衛を担当することに。ある夜、パドメの寝室に猛毒を持つ生物が送り込まれ、彼女は命の危険にさらされます。
間一髪で暗殺を阻止したふたりは、逃走する犯人を追跡。コルサントの夜空を駆け抜けるスピード感あふれる追跡劇が展開されます。
ついに犯人の賞金稼ぎを捕らえますが、背後から放たれたダーツによって口封じされ、真相は再び闇の中へと消えてしまいます。
この事件をきっかけに、オビ=ワンは暗殺計画の背後にある謎を追うことになります。単なる議員暗殺ではなく、共和国全体を揺るがす陰謀が隠されていることを予感させる場面です。
SCENE 2 惑星カミーノでクローン軍を発見
逃走した賞金稼ぎの足取りを追うオビ=ワンは、科学技術に優れた惑星カミーノへとたどり着きます。
そこで彼を待っていたのは、共和国のために造られたという驚くべき規模のクローン軍でした。
カミーノの首相ラマ・スーによれば、すでに約20万人のクローン兵士が完成し、さらに100万人が製造中だといいます。
しかも、クローンたちの遺伝子提供者は、ジャンゴ・フェットというひとりの賞金稼ぎでした。
オビ=ワンは、クローン軍の製造を依頼した人物が、すでに亡くなっているジェダイ・マスター、サイフォ=ディアスだと知らされます。
しかし、なぜジェダイ評議会が把握していない軍隊が、共和国の名のもとに造られていたのでしょうか。
この謎は、後に始まるクローン戦争と深く結びついていきます。共和国を守るための軍隊が、実は銀河を大きく変える計画の一部だったという点が、本作の重要なポイントです。
SCENE 3 ナブーで芽生えるアナキンとパドメの恋
パドメの護衛を続けるアナキンは、彼女と行動をともにするうちに、ますます強く惹かれていきます。
ナブーの美しい風景のなかで、ふたりは少しずつ心を通わせていきます。かつて幼い少年だったアナキンは、今やひとりの青年となり、パドメへの思いを隠しきれなくなっていました。
一方、パドメもアナキンの純粋さや情熱に心を動かされます。しかし、彼女は元老院議員としての立場を持ち、アナキンもまたジェダイの掟に従う身です。
互いに惹かれ合いながらも、簡単には一線を越えられないふたり。気持ちが高まったかと思えば、すぐに理性を取り戻して距離を置こうとする姿が描かれます。
この恋は、ふたりにとって大きな喜びであると同時に、アナキンの心に葛藤を生み出す原因にもなっていきます。
SCENE 4 母との悲しい別れ、アナキンが禁忌を犯す
アナキンは、母シミ・スカイウォーカーが危険にさらされる悪夢に苦しんでいました。
胸騒ぎを抑えられず、故郷タトゥイーンへと向かったアナキン。しかし、母はすでにタスケン・レイダーに連れ去られていました。
必死の捜索の末、ようやく母を見つけ出したアナキンでしたが、再会はあまりにも悲しいものとなります。傷ついたシミは、息子の腕の中で息を引き取ってしまうのです。
母を救えなかった悲しみと絶望に襲われたアナキンは、抑えきれない怒りをタスケン・レイダーたちへと向けます。そして、ジェダイとして越えてはならない一線を踏み越えてしまいます。
この出来事は、アナキンの心に深い傷を残します。
大切な人を守りたいという思いは、時として強い執着へと変わります。失うことへの恐怖と、失ったことへの怒り。その感情に振り回されるアナキンの姿は、後の彼の運命を考えるうえでも非常に重要です。
SCENE 5 ジオノーシスの戦い、ジェダイが集結!
オビ=ワンはジャンゴ・フェットを追って、惑星ジオノーシスへとたどり着きます。
そこで彼が目にしたのは、ドゥークー伯爵を中心に進められる分離主義勢力の計画でした。共和国から離脱した勢力が、巨大なドロイド軍を準備していたのです。
一方、コルサントでは、パルパティーン最高議長に非常時大権が認められます。これによって共和国軍の創設が進められ、カミーノで造られていたクローン軍が戦場へ投入される道が開かれます。
オビ=ワンを救出するため、アナキンとパドメもジオノーシスへ向かいます。しかし、ふたりも敵に捕らえられ、オビ=ワンとともに処刑場へ連行されてしまいます。
3人が巨大なクリーチャーと対峙し、絶体絶命の危機に陥ったそのとき、メイス・ウィンドゥ率いるジェダイの騎士たちが姿を現します。
数多くのジェダイが集結する迫力ある場面は、本作屈指の見どころです。
しかし、圧倒的な数を誇るドロイド軍を前に、ジェダイたちは苦戦を強いられます。そこへクローン軍が投入され、ついに共和国と分離主義勢力による全面戦争が始まります。
この戦いでは、ジャンゴ・フェットも命を落とします。父を失い、言葉もなくうつむく幼いボバ・フェットの姿も印象的です。後に賞金稼ぎとして名を知られることになるボバの悲しみが伝わってくる場面です。
SCENE 6 アナキンとパドメの結婚、そして戦争の始まり
ジオノーシスの戦いで、アナキンとオビ=ワンはドゥークー伯爵と対峙します。
しかし、ドゥークーの圧倒的な力の前にふたりは苦戦。アナキンは重傷を負い、オビ=ワンも追い詰められます。そこへヨーダが現れ、ドゥークーとの激しい対決が繰り広げられますが、ドゥークーは逃走に成功します。
共和国側はクローン軍の投入によって戦いを切り抜けたものの、銀河をめぐる争いは、ここからさらに激しさを増していくことになります。
そして物語の終盤、アナキンとパドメはナブーで秘密裏に結婚します。
ジェダイとしての掟を破り、愛する人と生きる道を選んだアナキン。ふたりは幸せな未来を願いますが、その背後では銀河を支配しようとする計画が進んでいました。
ドゥークー伯爵はシスの暗黒卿ダース・シディアスと密会し、計画が順調に進んでいることを報告します。
共和国の勝利に見えた戦いも、実は黒幕の思惑のうちにあったのです。
アナキンとパドメの結婚は、ふたりの愛が実を結んだ瞬間であると同時に、これから訪れる悲劇を予感させる結末でもあります。
ここで整理! 銀河共和国・ジェダイ・2つの軍隊の違い
ここで、物語を理解するために重要な勢力を整理しておきましょう。
銀河共和国は、銀河の多くの惑星が参加する政治体制です。ジェダイはフォースを使って平和と正義を守る騎士団で、共和国の平和維持にも関わっています。
しかし、この頃、共和国からの離脱を求める分離主義勢力が勢力を拡大していました。彼らが使用するのが、ロボット兵士を中心としたドロイド軍です。
一方、共和国側には、ジャンゴ・フェットの遺伝子をもとに作られたクローン軍が用意されていました。ドロイド軍が機械の兵士であるのに対し、クローン軍は人間の遺伝子から作られ、訓練を受けた兵士たちです。
この2つの軍隊が激突することで、銀河は本格的な戦争へと突入します。
なお、この時点ではまだ銀河帝国は成立していません。共和国の最高議長パルパティーンが、後に皇帝となり、共和国を帝国へと変えていくことになります。
まとめ:愛と戦争がアナキンの運命を変えていく
『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』は、アナキンが青年へと成長し、パドメとの恋を深める一方で、銀河が全面戦争へと突入していく物語です。
母シミとの悲しい別れは、アナキンの心に大きな傷を残しました。そして、パドメへの愛情もまた、ジェダイとしての使命との間で彼を苦しめていきます。
大切な人を守りたいという思いは、決して悪いものではありません。しかし、その思いが失うことへの恐怖や執着に変わったとき、人は大きな過ちを犯してしまうことがあります。
本作で描かれるアナキンの葛藤は、彼がこれから歩むことになる道を考えるうえで、重要な意味を持っています。
そして、共和国のために造られたクローン軍、分離主義勢力を率いるドゥークー伯爵、すべてを裏で操るダース・シディアス。銀河の戦争は、まだ始まったばかりです。
果たしてアナキンは、愛する人を守りながらジェダイとしての道を歩み続けることができるのでしょうか。
次回は『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』。クローン戦争の終盤、アナキンが大きな運命の分岐点を迎え、銀河が暗黒へと包まれていく物語へと続きます。
本記事は以下の本から抜粋要約しました。
